パンの名前の話。1.

昨日のブログの最後に、万城目さんが連載中のエッセイについて触れたけれど、こちらには日比谷の店に来店された際の、ぼくとの雑談(パンの名前について)が少し綴られている。

「パン・ド・ミの ”ミ” って、どういう意味ですか? ”私(me)” って意味ですか?」と、万城目さん(これも関西人のボケだと思う)。

「いや、いや、パン・ド・ミの ”ミ” は、フランス語の m・i・e なので違います。え~と、食パンの中身の白い部分が・・・云々」と上手く説明できずにいるぼくに追い打ちをかけるように、いかにも関西人らしいボケを投下される万城目さんと、それに対し上手く切り返せなかったぼくとのやり取りが書かれている(もしかしたら、これから読まれる方もいらっしゃるかも知れないので詳細は割愛)。

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後日、ぼくは万城目さんとのメールのやり取りの中で、上手く説明できなかったことを言い訳するようにこう送っている。

『パン・ド・ミの「ミ」、咄嗟に出てきませんでしたね・・・すみません。
パンの名前って、正確に答えようと思うほど説明しづらかったりします。
「パン・ド・ミって何ですか?」と訊かれたら、「食パンです。中身の白い部分が多いことを指すので、食パンのことを言います。」と答えるのですが、「パン・ド・ミの ”ミ”って何ですか?」と訊かれると、これが結構困ります。「パン・ド・ミ」で一つの単語のような感じですし、フランス語の mie だけだとまたニュアンスが違ったものになりますから。』

正直なところ、この言い訳も合っているのか未だによくわかっていない。だからフランス語に自信のある方がいらしたら、是非ご教示いただきたいと思う。

 

日比谷の店がオープン時には、スタッフが手書きでプライスカードをつくってくれていたんだけれど、例えば『パン・オ・フロマージュ』とだけ書かれたものを見て、「これ、ぼくらは当たり前のように ”フロマージュ” とか言ってるけど、”チーズが入っています。” とか説明書きがないと、一般の方にはわからないかも知れないよ。それか、『チーズのパン』って名前にするとか。」といった会話になった。

特につくり手側であるぼくらは、いわゆる厨房用語、専門用語といった単語を日常的に使う。それは機材や道具の呼び方もそう。そのため、うちのスタッフでも特に厨房の子たちがたまたま売り場でお客様から何か訊ねられた際には、ついつい専門用語の混じった説明をしてしまっている場面に遭遇したりすることがある。だからそういった時には、「今のじゃ多分、一般の人にはわからないよ」と指摘をする。

フランス料理屋さんでお客様にソースのことを訊ねられ、「エシャロットのアッシェをスュエしたものに白ワインと白ワインヴィネガーを加えてレデュイールし、そこにバターをモンテして最後にパッセしております。」なんて説明をするようなスタッフさんは、まずいない。これは極端な話だけれど、もうお客様が同業者でもない限り、説明をする際には厨房用語や専門用語といったものは、一切使わないくらいの気持ちでいた方がいいと思うなぁ。

つづく

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西山 逸成

代表取締役製造補助

Le PetitmecとRéfectoireの隊長をやっています。