パンの名前の話。5.

この話は、「パン・ド・ミの ”ミ” って、どういう意味ですか?」と万城目さんから訊ねられ、ぼくが窮したことから始まっている。
「中身の白い部分が多いことを指すので、食パンのことを・・・」と答えながら、一方でぼくは ”間違ってはいないだろうけれど、本当にそうなのか?それ以外に説明の仕方はないのか?” と自問していた。
「 ”ミ” って、どういう意味ですか?」という困った質問はさておき、「”パン・ド・ミ” って何ですか?」と訊ねられたら、ほとんどのパン屋さんは「食パンのことです。」と答えられると思うんだけれど、じゃあ「 ”パン・ド・ミ” って、どういう意味なんですか?」と訊かれた場合には、何て答えられるんだろうと思う。
この場合、ぼくが想像するに答えは二つで、一つは「そんなん、フランス人に訊いて」。
関西弁なのは、関西人ならそう言い出しそうな気がしたから。
もう一つは、万城目さんに伝えたように「中身の白い部分が多いことを指すので、」あるいは「中身の柔らかい部分が多いパンを指すのがパン・ド・ミと・・・」といった説明をされる方がほとんどなんじゃないかと思う。
そうなると、いわゆる ”山型パン” や ”ハードトースト” と呼ばれるものも ”パン・ド・ミ” になるんじゃないですか?といったことにもなるだろうし、どうもこういったパンの呼称というのは抽象的に思えて仕方がない。

食パンの型にフタをせずに焼いて、焼き上がりが山型状になるパンを ”山型パン” というのはその名の通りだと思うし、お店によってはそれを ”イギリスパン” あるいは ”イギリス食パン” と呼ばれるのも、その形がイギリスから来たことに由来すると知れば、なるほどと思える。
ところが今度は、 ”ハードトースト” という名前が腑に落ちない。
「ハードトーストって、何ですか?」と訊ねられれば、「フランスパン生地のように卵や砂糖、油脂の入らないシンプルな生地を型に入れて、食パンのように焼いたものです。」と説明するだろうし、美味しいパンだとは思っているんだけれど、どうも ”ハードトースト” って、この名前がなぁ・・・
「どうして ”ハードトースト” という名前なんですか?」と訊ねられたら、これもパン・ド・ミ以上に困る気がする。

見た目は山型の食パンであっても油脂が入らない生地だから、”Hard” と付けたくなるのはわかる気もするけれど、そもそもなんで ”Toast” なの?
トーストって、”スライスした食パンを焼いたもの” なんじゃないの?と思ってしまう。
で、「ググれ、カス」とか言われたら嫌だから一応、ググってみた。

『トースト(Toast)は、スライスした食パンを加熱し、表面に軽く焦げ目をつけた食品である。』(Wikipediaから抜粋)

ですよね、Wiki先生。
ぼくなんて、ハードトーストという言葉を初めて聞いた時には、”焼き過ぎた食パン” を思い浮かべたんだから。
確か、この ハードトーストって名前は造語だったような憶えがあるんだけれど、パン・ド・ミといい、ハードトーストといい、パンの名前って抽象的で上手く説明できないものがあるなぁと思った。

パン屋さんへ行かれた際には是非一度、「パン・ド・ミの ”ミ” って、どういう意味ですか?」
「 ”パン・ド・ミ” って何ですか?」と訊ねてみて欲しい。
これ、ちゃんと答えれるパン屋さんは、意外と少ないんじゃないかなぁと思う。

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西山 逸成

代表取締役製造補助

Le PetitmecとRéfectoireの隊長をやっています。