取材のこと。4.

取材依頼の際、先方が望まれるものにできる限り寄せようとしただけでなく、同じような話をするにしてもぼくは相手によってかなり言葉を選び、意識的に使い分けるようにしていた。もちろんそれは、適当な受け答えになるとか、エラそうな言い方に変えるといったことではない。

専門誌のベテランライターさんや、例えば清水さんだったり、パンラボの池田さんのような方だとスタッフや同業者と同じように話しても通じることがわかっているし、自称・永遠の24歳だか25歳だったか忘れちゃったけれど、浅井姐さんのような ”食にかかわるすべての書き手” としてプロ中のプロの方が相手の場合には、配慮をする必要がないどころか、こちらが学ばせてもらう機会になったりする。

一方で、女性誌やファッション誌、情報誌などの場合、パンについては専門外のライターさんであることがほとんどなんだけれど、そういった方でも人によっては「何が違うんですか?」と、説明をする上で製法の話を避けれない質問をされることがある。
こういった場合、ぼくは試しに「例えば、パンにはストレート法ってあるんですが、わかりますか?」と訊ねてみる。すると、大抵の方がキョトンとされるので「それじゃあ、・・・」と、製パンの教科書に出てくるような単語は一切使わないように咀嚼して話をするようにしていた。

畑違いや経験の浅いライターさんが取材に来られ、話の途中でキョトンとされたり、的外れな反応をされると、ひと昔くらい前までは「取材に来るのに勉強不足だ」云々と言って説教を始める職人さんもいらしたと耳にすることがあるけれど、”そこは、なんか違うなぁ” と個人的には思う。
彼女たちは ”書くことのプロ ” であり、それが仕事であって、パンやお菓子、料理をつくるのが仕事ではないんだから。
だからこそ、校正のために届いた原稿が余りにも誤字脱字だらけだったり、意味不明な内容だったりした場合には、”もう次から受けたくないなぁ” と思うこともあったりするんだけれど。

ひと昔前のあるある話でいえば、飲食店の取材依頼をするのに「お昼の12時台に電話をかけて来た」なんて配慮のない話もよく耳にしたけれど、こういった非常識なことでもない限り、取材する側、される側、どちらが偉いわけでもないんだから上手にお付き合いができればいいんじゃないかと思う。

つづく

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取材のこと。1. 2. 3.

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西山 逸成

代表取締役製造補助

Le PetitmecとRéfectoireの隊長をやっています。