凡人も悪くないと思う話。1.

先日、毎日新聞さんの朝刊とweb版に、ぼくの話を少し掲載していただいた。
ありがとうございました。

この依頼を受けた際、どういった話をすればいいのかを訊ねると、「関西発 進化するパン文化について」といった趣旨で書こうとされていること、そこでパンに対する考えやこれまでの店の歴史、そしてこれからのことなどを伺いたいといったお話だった。
本当に、自分でもこういった取材やインタビューは向いていないなぁと思う。

”そんなことをぼくに訊いてどうするの?”

これがぼくの率直な気持ちだった。
店の歴史はともかく、進化するパン文化だなんて考えたこともなかったし、うちは退化しないようにするだけで精一杯で、おまけに「これからのこと」なんてぼくに訊いたら間違いなく記事にはできなくなる。

いつも取材の際には、パンなどであれば可能な限り求められるものを用意するようにしているけれど、その趣旨が ”ぼくの考え方” であるといった場合には、取材する側が求められているであろう答えがわかっていたとしても、ぼくはそれに合わせようとはしない。
仮にそれが読者の期待されている言葉や望まれているような話であったとしても自分が本当に思ってもいないことまでは話せないし、それをしてしまうと嘘になる。
だからこれまでに受けて来た取材やインタビューというのも、いつも ”たくさん話をしたわりには、使える部分がほとんどない” といったことになっていた。

昨年、ある問屋さんの創業100周年記念として行われたパネルディスカッションに関口さん(THINK GREEEN PRODUCE )栄徳さん(BLUFF BAKERY )と一緒に登壇させていただく機会があった。
この時もいつものように「(こだわりは)特にないんです。」「何もないんです。」と話すぼくに、関口さんが「なるほど、西山さんは ”逆張り” なんですね。」と言ってくださり、”おぉ、さすが捉え方がプロデューサー・関口さんだ” とは思ったんだけれど、残念ながらぼくは関口さんが思われているよりもずっと単純な人間だ。
ぼくの言うそれは額面通りに受け取ってもらえればよくて、そこに他意や意図といったものもない。
だから、もし同業者の方の多くが「(こだわりは)特にないんです。」と言われるようなことになったとしても、ぼくは今と同じことを言っているに違いない。

”そんなことをぼくに訊いてどうするの?” という気持ちになるのは、ぼくがこんな人間だからなんだけれど、それでも取材を受けることにしたのは、1年ほど前にも担当の三輪さんという方に「家庭で簡単にできるサンドイッチのレシピ」という企画で取材をしていただいたご縁があり、美輪さんならぼくの話しそうなことをわかった上で取材をしていただけるだろうと思ったからだった。

つづく

 

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西山 逸成

代表取締役製造補助

Le PetitmecとRéfectoireの隊長をやっています。