空想サンドウィッチュリー 10回目

久しぶりに空想サンドウィッチュリーのロケをやりました。( 前編  後編  )
これでちょうど10回目。
これまでの “お題” を振り返ってみると・・・

1回目「本屋」
2回目「4月の魚(poisson d’avril)・桜の木」
3回目「こどもの日」
4回目「サバイバルゲーム場」
5回目「京町家」
6回目「海」
7回目「駅舎」
8回目「暴れん坊将軍」
9回目「ディンケル畑」

ちなみに7回目の「駅舎」は、ぼくが唯一リクエストをしたロケ地です。

で、今回のお題は「熱帯植物園」。
振り返ってみると、4回目の「サバイバルゲーム場」、8回目の「暴れん坊将軍」という本当に困ったお題に比べると、今回のお題はそれほど難題でもないような気がしてくる。
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とはいえ、 ”熱帯” と聞いて、ぼくが想像するのは アマゾンだとかインドやネパール、インドネシア・・・くらい。ということは、今回のサンドイッチの具材などに使うものは、香辛料の効いたもの、辛いものというイメージになってくる。
いわゆる “エスニック料理の要素” が必要になるけれど、ぼくにとってこのジャンルは完全に守備範囲外で、これまで特に意識したこともなければ自ら選択して食べに行ったことさえないもの。
この企画はサンドイッチに仕立てないといけないし、だからといって東南アジア辺りの料理を挟んだだけでは、驚きもなければ特に印象にも残らないものになる気がする。
何を作るかは後で考えるとして、ぼくはとにかく先に食材を決めることにした。

熱帯地方・・・アマゾンといえば・・・ワニ。
そういえば、ワニのお肉は美味しいと聞いたことがある。でもワニのお肉が普通のお肉屋さんで売られているとも思えず、とりあえず “アマゾンつながり” ということで amazon.co.jp で検索してみることに・・・
なんと、売っていた(結局、amazonでは種類が少なかったので楽天で購入)。
使い途は決めていなかったけれど、一応 “バナナの皮” も一緒に購入。
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ワニのお肉。見た目は、白身魚みたい。

時間や予算も限られているため試作をするわけでもなく、いつものようにぶっつけ本番。おまけに今回はマンゴープリン以外は初めてのものばかり。
それでもいざ作り始めると、いろいろとわかってくることがある。
ぼくが普段の賄いでエスニック料理を作ることはまずないけれど、作ったことのない初めての料理を賄いで作っていたという経験が、こういったときに少なからず役立っているのが自分でもよくわかる。それは技術的なことでなく、手探りで作っていく過程の中で気づくことのある ”だから美味しくなるのか。” といった思考の部分。
使用する食材や香辛料そのものは、国やジャンルによって違うけれど、”美味しい料理にするため” の考え方や過程、目指す着地点は似ている部分が多い気がする。
恐らくこういったことが、いわゆる “コツ” というもので、これがわかると大概のものは、それなりの形になるとぼくは思っている。
それでも今回、ワニのお肉だけは慎重になった。
届くまで見たこともなければ食べたこともなかったし、何よりも用意したものが少量のため、もしも失敗したら文字通り後がない。

知識としてわかっていたのは、”脂肪が少なくクセもない。鶏肉よりは味があり唐揚げなどにも向いている” ということくらい。
唐揚げでは固くなる可能性もあるし、焼くにしても身がパサパサになったら美味しくないからオーブンは使わず、少ない脂肪を補うように焼く調理法にしようと考えた。
味はエスニック料理らしくするために香辛料を効かせたソースを少し塗って、最後にその部分だけ焼いてみる。
これなら単にエスニック料理の調理法をそのままやるのではなく、フランス料理の技法の良さも取り入れた上で美味しいエスニック料理になるだろうと考えた。
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フライパンにバターを溶かし、バターがムース状(泡)になればワニのお肉を焼いていく。火加減はバターがムース状を維持するように中火くらい。スプーンで何度もバターをかけながら焼いていく(アロゼ)。バターの泡の中で火を入れる感じ。火が通りかければ肉を取り出してアルミホイルで包み、焼いた時間と同じだけ温かい場所で休ませる。
これにエスニック味なバーベキューソースを塗り、表面を上火だけで焼く。

みんなで少しずつわけて食べてみましたが・・・ワニのお肉は、驚くほど美味しかったです。
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あ・・・ピタパンとパン・ド・ミを逆に書いてた・・・

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ダンボールの屋台を裏から見るとこんな感じ。

これまでエスニック料理にはまったくというほど興味がなかったけれど、やってみると とてもおもしろい。
「エスニック料理はハマる」とよく耳にするけれど、食べる側の人だけでなく、きっと “作る側の人もハマる” 。
ヨーロッパの一流シェフたちにも香辛料に凝る方がいらっしゃるけれど、とてもよくわかる気がする。
それにパン屋さんも勉強すれば、サンドイッチなどに使えるものがきっとたくさんある。
こういった機会をいただいたお陰で気づくことはたくさんあるし、とても勉強にもなる。おもしろいし。

そういえば、この “空想サンドウィッチュリー” は、あと1回か2回やって最終回となり、書籍化するらしい。
終了すると思うと少し寂しい気もしなくはないけれど、「つづける?」と訊かれれば、それはそれで辛い気もする。
きっと、企画もアップデートした方がいい。
次にやるときには、もっと馬鹿げたおもしろい企画を考えましょう。

 

バナナの皮で蒸し焼きにしたサワラ(三重県産) サンバルソース


マンゴープリン

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西山 逸成

代表取締役製造補助

Le PetitmecとRéfectoireの隊長をやっています。